本項目では、岩手県交通(県交通)・岩手県北自動車(県北バス)が発行するバスカードについて解説する。

概説

磁気式乗車カード(バスカード)で、制度上は回数乗車券の位置付けである。種類は普通カード、通学カード、買物カードの3種類あった。

かつては岩手県交通・県北バス共通バスカードとして発売され、県交通・県北バスの間で共通利用が可能であった。2008年10月31日収支改善および原油高騰等を理由に通学カード、買物カードが販売を終了した。両社の経営環境の変化のため、2010年3月31日をもって共通利用を終了した。カードの共通乗車にあたっては1年ごとの契約としており、2009年9月までの期限後、契約更新について協議が行われたものの、継続は困難と判断されたことによる。2010年4月以降、県交通のカードでは県交通と奥州市営バスのみ、県北バスのカードでは県北バスと岩泉運輸のみでしか利用できなくなった。これに伴い、共通乗車取り扱い終了翌日の2010年4月1日から5月31日までの2か月間、無手数料での払い戻しを実施した。

その後、車両のカード読み取り機器が耐用年数に達してきたことと、製造業者の減少によって修理や代替が困難になってきたことから、ICカード乗車券に切り替えることとなった。2022年、県北バスでは同年2月19日からのICカード乗車券「iGUCA」導入に伴い、同年1月31日をもってバスカードの発売を終了、車内での利用も同年7月31日で終了した。残額については、2023年1月31日まで払い戻しまたは「iGUCA」への移行を取り扱っていた。なお県北バスでは、106急行バスにおいて2020年9月28日よりキャッシュレス決済(Visaのタッチ決済、PayPay、Alipay、LINE Pay、楽天ペイ)も導入されている。

また県交通でも、2021年3月27日よりICカード乗車券「Iwate Green Pass」を導入した。県交通では経営上の理由から全車両の機器を一斉にICカードへ切り替えることはせず、段階的に導入していくこととしている。またICカード対応車両ではバスカードが利用不可であるため、バスカードのみ利用可の車両とICカードのみ利用可の車両が混在する状況になっていたが、2024年2月までに盛岡都市圏管内(松園営業所、滝沢営業所、巣子車庫、都南営業所、矢巾営業所、紫波営業所)と北上都市圏管内(花巻営業所、北上営業所)の全車両がICカード対応となったことから、盛岡都市圏管内ならびに北上都市圏管内以外の路線のみの取り扱いとなった。

なお、「Iwate Green Pass」と「iGUCA」は、「Suica」機能付きかつ交通系ICカード全国相互利用サービスにも対応しているため、県交通・県北バスの間で相互利用可能である。ただし、サービスや交通ポイントは独自のものとなる。

利用可能だった事業者・路線

  • IGRいわて銀河鉄道 いわて銀河鉄道線:盛岡駅 - 青山駅
2008年10月1日 - 同年12月20日の間に限り、IGR線の上記各駅相互間において試験的に利用が可能だった。ただし、利用できる時間帯は10:00 - 17:00の間のみ。
  • 花巻市街地循環バス「ふくろう号」
バスカード読み取り装置の維持が困難になったため、2018年9月30日で取り扱いを終了した。
  • 盛岡都心循環バス「でんでんむし」
バスカード読み取り装置の維持が困難になったため、2019年5月15日で取り扱いを終了した。
  • 県北バス
ICカード乗車券「iGUCA」の導入に伴い、2022年7月31日で取り扱いを終了した(前述)。
  • 県交通
ICカード乗車券「Iwate Green Pass」の導入に伴い、2025年2月14日まで順次取り扱いを終了した(前述)。

払い戻し箇所

  • 県交通発行のバスカード
    • 盛岡・花北地区を除く同社各営業所・案内所・定期券販売所
    • バスカード委託販売所
    払い戻しは、各営業所のみで取り扱い、委託販売店での取扱いは不可。また210円の手数料がかかる。

県北バスのバスカードは発行を終了している(前述)。

2008年4月1日から2010年3月31日までは、いわて銀河鉄道線盛岡駅・青山駅・厨川駅・巣子駅・滝沢駅・渋民駅・好摩駅・いわて沼宮内駅・奥中山高原駅・一戸駅・二戸駅においても販売していた。

種類

出典:

※は県交通において現在発売中のもの

利用方法

基本的には、乗車時と降車時にカードをカードリーダーに通す。車両の仕様により「2リーダー車」(中乗り前降り)と「2ウェイ車」(前乗り前降り)が混在している。読み取り機は裏面に残額が印字されるタイプではない。

  • 中扉から乗車、前扉から降車の車両(2リーダー車):中扉に乗車用カードリーダー、前扉に降車用カードリーダーを設置。
  • 前扉から乗降の車両(2ウェイ車):前扉に乗降兼用カードリーダーを設置。この場合、乗車時と降車時でカード挿入口と排出口が逆になる。

残高不足の場合は「ピピピ」と音が鳴ると同時にカードが機器内に止まるが、その際は別のカードか現金と合わせて支払うことになる。また通学カードを利用の場合には、識別のために残高不足などに係わらず「ピピ」と音が鳴る。

脚注


岩手県北バス 岩手県北バス情報局

岩手県北バス 岩手200か1872 exhaustnoteⅡ

岩手県北バス

岩手県交通磁気バスカード

岩手県北バス(公式サイト)路線バス・高速バス・貸切バスの情報